ペロブスカイト太陽電池の構造・材料
ABX₃型結晶構造をわかりやすく解説

ペロブスカイト結晶構造(ABX₃型)とは

ペロブスカイト構造とは、化学式 ABX₃ で表される特定の結晶構造です。中心にB陽イオン、その周囲に6つのX陰イオンが正八面体を形成し、さらにその八面体が隅を共有して三次元的につながり、隙間にA陽イオンが入る構造です。

A B X₃
A
大きなカチオン
MA⁺(メチルアンモニウム)
FA⁺(ホルムアミジニウム)
Cs⁺(セシウム)
B
小さなカチオン
Pb²⁺(鉛)
Sn²⁺(スズ)
Ge²⁺(ゲルマニウム)
X
ハライドアニオン
I⁻(ヨウ素)
Br⁻(臭素)
Cl⁻(塩素)

代表的なペロブスカイト材料

材料化学式バンドギャップ特徴
MAPbI₃CH₃NH₃PbI₃1.55 eV最も研究が進んだ標準材料
FAPbI₃HC(NH₂)₂PbI₃1.47 eV高効率・熱安定性に優れる
CsPbI₃CsPbI₃1.73 eV無機系・高耐熱性
MAPbBr₃CH₃NH₃PbBr₃2.24 eV緑色発光・タンデム用上層
MASnI₃CH₃NH₃SnI₃1.30 eV鉛フリー候補材料

太陽電池デバイスの層構造

ペロブスカイト太陽電池は複数の薄膜を積層したサンドイッチ構造です。代表的な構成(n-i-p型)は以下の通りです。

透明電極(ITO / FTO)
電子輸送層(ETL):TiO₂、SnO₂など。電子のみを通す
ペロブスカイト光吸収層
光を吸収し電子と正孔を生成(厚さ約300〜500nm)
正孔輸送層(HTL):Spiro-OMeTAD、NiOなど。正孔のみを通す
金属背面電極(Au、Ag、Alなど)

各層の役割

  • 透明電極:光を透過しながら電気を取り出す電極。ITO(インジウムスズ酸化物)やFTO(フッ素ドープ酸化スズ)が使われる
  • 電子輸送層(ETL):ペロブスカイト層で生成された電子を効率よく取り出す層。TiO₂(酸化チタン)やSnO₂(酸化スズ)が代表的
  • ペロブスカイト光吸収層:太陽光を吸収して電子と正孔のペア(励起子)を生成する心臓部。厚さは約300〜500nm
  • 正孔輸送層(HTL):生成された正孔を取り出す層。有機系のSpiro-OMeTADや無機系のNiO(酸化ニッケル)などが使われる
  • 金属背面電極:金(Au)、銀(Ag)、アルミ(Al)などの金属薄膜

n-i-p型とp-i-n型(通常型と逆型)

ペロブスカイト太陽電池には層の積み順が異なる2種類の構成があります。

構成積層順(光入射側→背面)特徴
n-i-p型(通常型)ETL → ペロブスカイト → HTL高効率・研究の主流。製造が複雑
p-i-n型(逆型)HTL → ペロブスカイト → ETL低温製造が容易・ヒステリシス小さい

バンドギャップの調整について

ペロブスカイト材料はXサイト(ハライド)の組成比を変えることでバンドギャップを連続的に調整できます。例えばヨウ素(I)と臭素(Br)の混合比を変えると、バンドギャップを1.55〜2.3 eVの範囲でコントロール可能。これがタンデム型での利用に最適な理由の一つです。

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