CIS/CIGS太陽電池とは
CIS(CuInSe₂:銅インジウムセレン化物)およびCIGS(Cu(In,Ga)Se₂:銅インジウムガリウムセレン化物)は、化合物半導体を使用した薄膜太陽電池です。1970年代から研究が始まり、現在は商業製品が普及しています。シャープ・ソーラーフロンティア(昭和シェル)・Solar Frontierなど日本企業も強い競争力を持っています。
総合比較表
| 比較項目 | ペロブスカイト型 | CIS/CIGS型 |
|---|---|---|
| 最高変換効率(研究) | 26.7% | 23.4% |
| 商業製品効率 | —(実用化前) | 16〜20% |
| 製造温度 | 100〜150℃ | 450〜600℃ |
| 製造プロセス | 塗布・印刷 | スパッタ・蒸着 |
| 耐久性・寿命 | 5〜10年(課題) | 20〜25年(実証済み) |
| フレキシブル化 | ◎ 容易 | ○ 可能(技術確立) |
| 環境安全性 | 鉛含有(懸念) | インジウム希少・セレン毒性 |
| 材料供給安定性 | ○ 豊富な元素 | △ インジウム希少元素 |
| 低照度特性 | ◎ 優れる | ○ 良好 |
| 高温特性 | △ | ○ 良好 |
| 技術成熟度 | 発展途上 | 成熟(商業化済み) |
ペロブスカイトがCIGSに優る点
- 製造コスト(理論値):塗布プロセスはスパッタ・蒸着より低コスト期待
- 製造温度が低い:低温プロセスでフレキシブル化が容易
- 材料の豊富さ:インジウムは希少元素だが、ペロブスカイトの主要元素(鉛・ヨウ素)は比較的豊富
- バンドギャップ調整の容易さ:組成変更だけで幅広い光吸収帯域に対応
- タンデム化との相性:バンドギャップ調整でCIGS/ペロブスカイトタンデムも研究中
CIGSがペロブスカイトに優る点
- 耐久性の実証:20〜25年の屋外実績があり、信頼性が高い
- 高温環境での安定性:砂漠・熱帯地域での性能低下がペロブスカイトより少ない
- 商業製品の存在:すでに住宅用・産業用製品が市場に存在
- 環境規制リスクが低い:鉛を含まず(ただしセレンの毒性は要注意)
CIGS/ペロブスカイトタンデムの可能性
CIGSのバンドギャップ(1.0〜1.7 eV)とペロブスカイトの広バンドギャップを組み合わせたタンデム型も研究されています。シリコン/ペロブスカイトタンデムと同様に33%超の効率が期待でき、さらにフレキシブル化も可能というメリットがあります。ただしシリコン/ペロブスカイトほど研究が進んでおらず、商業化はより先になる見通しです。
市場での位置づけ
CIGS型は現在、薄膜太陽電池の中で最も信頼性が高い商業技術として確立されています。特に「軽量・フレキシブル」「低照度特性」「高温地域向け」という特徴で差別化されてきました。ペロブスカイト型が本格普及すれば、これらの用途での競合が激化することが予想されます。ただし耐久性の差が埋まるまでは、CIGSが信頼性を売りに一定のシェアを維持すると見られています。